Xでの投稿から
ショートコラムセレクション①

仁藤 安久

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弊社が3年前ほど前にひっそりとはじめて、ひっそり更新が止まっているX(旧Twitter)でのコラムがあることをご存知ですか。Queのメンバーみんなでバトンリレーのように当番制で書いていたコラムでした。

このサイトで告知をしていたわけでもなく積極的に宣伝をしていたわけではないので、知らない方も多いかと思うのですが、それでも3000人くらいのフォロワーの方に読んでいただいていました。時々、あのコラムをまた続けてほしいという声をいただくこともあり、メンバーも「そろそろまた書きはじめてもいいかも」などと動き出しそうな予感もしています。

といいつつ、いつはじまるかもわからないため、アイドリングも兼ねて過去の投稿をいくつかこちらのサイトでも紹介していきたいと思います。

今回は「企画に詰まった時に役立つコラム」ということで2つほどセレクトしてみました。

企画に詰まったときの脱出法

CMを企画していてどうにもこうにも詰まってしまい何も思いつかない。
プランナーをしている誰もが経験をしたことがあるのではないだろうか。
そんなときに自分なりの最後の手段があると少しは心に余裕ができる。
例えばあるミュージシャンの話。その人はDVDレンタルショップに行き、
自分の好きな映画、ジャケットに興味が惹かれる映画を物色するのだという。
そして「もし自分がこの映画の主題歌を作っていたとしたら…」と考えるのだそうだ。
0から何かを考えるのは難しい。だから、強制的に異物を放り込んで頭が回転する
とっかかりを作ってやるのだ。実は、このやり方はCM企画にも使える。

例えば、ACCのホームページに行き、ラジオCMの受賞作一覧のタイトルだけをみる。
テレビCMよりもラジオCMのタイトルの方が、企画のエッセンスが濃縮され、
刺激になることが多いからだ。そしてタイトルと商品から、どんな企画かを想像して、
自分の今考えていることに活かせないかを考えてみるのだ。
※あとで確かめてみると、似ても似つかない企画を想像していたりしてそれはそれで面白い。

強制的に異物を放り込んで頭を回転させる方法。
うまくいくととても強いクリエーティブジャンプを生んでくれる。

グッドアイデアの前にはグッドクエスチョンがある

「あなたにしかないような、オリジナルの物語を教えてください」と聞かれたら、あなたはどう答えるだろうか?きっと、多くの人が答えに窮してしまうだろう。

「捨てられないTシャツ」という本がある。誰もが一枚は持っている捨てられないTシャツを巡る70のインタビューが掲載されている。
この本に収録されているエピソードは、いずれもオリジナリティがあって興味深く読めるのだが、改めて「問い」という観点でこの本を見てみよう。

この本が取材対象者に投げかけたのは「あなたの捨てられないTシャツに関する物語を教えてください」という問い。Tシャツという具体的なモチーフを通じて出てきた答えは、結果として間違いなくオリジナルの物語になっている。各人に埋もれたオリジナルな物語を取り出すという目的に対する問いとして、優れた機能を果たしていると言えそうだ。

アイデアに行き詰まったら、問いを見直してみよう。多くの場合、取り組んでいる問いが大きすぎる。自分が取り組んでいる問いをまず言葉にしてみよう。それを具体的にしてみたり、制約をつけてみたりしながら、アイデアが湧き出てくるように調整してみるのはどうだろうか。

 

YASUHISA NITO
1979年、静岡県生まれ。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程にて文化人類学・地域づくり・ネットワークコミュニティ論を専攻した後、2004年電通入社。 コピーライター及びコミュニケーション・デザイナーとして、日本オリンピック委員会、日本サッカー協会、三越伊勢丹、森ビル、ノーリツ、西武鉄道などのクリエーティブ業務を担当。電通サマーインターン座長、新卒採用の戦略にも携わり、クリエイティブ教育やアイデア教育など教育メソッドの開発を行う。2017年に電通を退社。新規事業開発担当として、広告・コンサルティングの他に、スタートアップ企業のサポート、施設・新商品開発、顧客サービス、人事・教育への、 広告クリエーティブの応用を実践している。 受賞歴は、ロンドン国際広告賞 金賞、ニューヨークフェスティバル 銅賞、キッズデザイン賞、文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品など。