間宮のコラム まみこら vol.35
デジタルチャイナに行くぞ

間宮 洋介

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お久しぶりでございます

 

 

 

大きなプレゼン終わると体壊すの法則

 

先週の水曜日に大きめのプレゼンが終わり、やっと一息ついたのでまた毎日コラムかくぞ!と思っていたのですが(本当?)、プレゼン終了直後から右目が痛い、、、猛烈に痛い、、、と思ったら急激に腫れ始めました。ものもらいにかかりました(関西では“めばちこ”とか言うらしいですね)。これ、半端じゃなく痛いですね。そしてうっとおしい。右目は開かなくなり、まぶたの裏に消臭ビーズが入ったみたいな感じでゴロゴロ。次の日もその次の日もゴロゴロ。医者に行く時間がなかったので薬局に走り、抗菌目薬を3時間おきにさしまくって眼帯で独眼竜生活をしていたら、やっと金曜の夕方に膿が排出され(なんか本当にムニョッというような音がした気がした)、快方に向かい始めました。片目とはいえ目が使えない状況になると、普段比較的健康に生きられていることに対する感謝が湧き上がってきます。健康第一。人間ドック行かないと。

 

 

 

デジタルチャイナに行ってきます

 

今回ものもらいになってしまって超焦っていた事情がありまして、実は本日(5/21)から、上海、深圳に行く予定があったからです。目的は“デジタルチャイナにおけるユーザーエクスペリエンスデザインビジネスの視察”。噂では聞いていたのですが、今の中国は凄まじい勢いでデジタル化が進んでいて(というかデジタル化が完了して、さらに磨きこまれている状態)、街のどこでも当たり前にデジタルを前提とした社会、生活が体験できるということで、今回はそれを視察に行きつつ、日本社会の“次の”アジェンダ構築のヒントがないか、学んでこようと思います。“シリコンバレーでの1ヶ月は、深圳の1週間でしかない”という言葉にあるような急速な成長の裏にはきっと小手先だけではない思想があると思うからです。実は、日本のことを考えたときに、今中国から何を学んでも、日本は中国に追いつけないと思っています。歴史から見ても、世界の流れには“ターン”というものがあって、今は間違いなく“中国のターン”だと思うからです。他に勢いのある他国がないという“タイミングボーナス”、圧倒的な人的資源を抱えるという意味での“人口ボーナス”、そして広大な土地を持つ“国土ボーナス”と、それらを背景にした圧倒的な資本力が今の中国の成長を支えていると思います。日本がいくら追いつこうと思ってもこの“ターン”には太刀打ちできないと思います。ある意味、今回の視察は“諦めに行く”ということなのかもしれない、と思っています。

 

 

 

学びたいこと、活かしたいこと

 

それでも日本には、今の中国から学ぶべきポイントがいくつもあると思います。そこで今回、自分的には3つのテーマを持って上海・深圳という“デジタルチャイナ”を見てきたいと思っています。

 

  1. “顧客体験の質”

 

よく日本は“おもてなしの国”と言われます。一方で、デジタルテクノロジーを駆使した中国の“顧客体験”の質は急速に向上していると言われています。一方で、中国の“顧客体験の質の向上”の裏側には、顧客に上質な体験を提供することによって、上質な“データ”を取るという目的があります。きっと自分が上海に上陸し、香港から出国するまでの間の行動は丸見えになります。ただし、それが不快にならないほど快適な顧客体験が用意されているのではないかと期待しています。そしてそれは単に人的資源だけにたよる日本の“おもてなし”に、新しいヒントを与えてくれるのではないかと思っています。

 

  1. “メーカー”という概念の変質

 

中国では全てのビジネスが“一貫した顧客体験のデザイン(とその裏側にあるデータ活用)”によって組み立てられている、という話をよく聞きます。そのときに自分が不思議に思うのは“メーカー”という業種の存在意義が大きく変わっているのではないか、ということです。日本では“ものづくり”に対する信仰心が強く、“メーカ至上主義”的な意識が強い気がするのですが、“一貫した顧客体験のデザイン(とその裏側にあるデータ活用)”においては、“メーカー”は多くの顧客接点の一つでしかありません。とはいえ、上質な顧客体験のデザインのためには“上質なものづくり”という要素も必要になってくると思います。この辺りを中国社会がどのように捉えているのかを知ることによって、日本ビジネスのトランスフォーメーションにも学べるところがあるのではないか、と思っています。

 

  1. ビジネスと社会インフラ

 

前述したように、実は個人的には、日本は、規模や数字といったビジネス面においては中国に敵うことはないと考えています。人口が縮小し、超高齢化社会になっていくという課題が大きすぎるからです。ただ、だからこそ日本には新しい社会のアジェンダを生み出すヒントがあるのではないかと思います。一方でその“新しい社会”は、デジタルテクノロジーが前提になった社会であることには間違いありません。今回中国で見てきたいのは単なる“ビジネス”側面だけではなく、デジタルテクノロジーが“行政”や“コミュニティ”に果たす役割です。もちろん中国では、例えばアリババのような超巨大企業が街ごとゼロから作る、まさに“ゼロからスマートシティ”のようなことが実現しています。そうなるともはや“ビジネス”と“行政”は“一貫した顧客体験デザイン”で繋がった、一つのissueになっているかもしれないのですが。

 

そんなわけで、ちょっといってきますね。

 

YOSUKE MAMIYA
1994年電通入社。2年間のマーケティング局、16年間の営業局勤務を経て、2012年よりCDC。 「戦略とは、課題の言語化である」を戦略立案の芯に据え、戦略から表現まで統合し、あらゆる課題解決業務に従事。関わる領域は、広告コミュニケーションにとどまらず、事業系ソリューション、中長期経営計画立案、インナーのモチベーション・デザインなど多岐にわたる。 2017年に電通より独立。2018年 株式会社 Que 代表取締役CEOに就任。 主な仕事として、キリンビール「一番搾り」「氷結」キリンビバレッジ「午後の紅茶」「FIRE」におけるコミュニケーション・デザイン。 トヨタ自動車「AQUA」「MIRAI」「PRIUS PHV」「C-HR」のコミュニケーション戦略、 NTT ドコモ「2020 東京オリンピック協賛プロジェクト 」、プレナス「ほっともっと」ブランディング・ディレクション、日清食品「カップヌードル」 「UFO 」におけるキャンペーン・プランニングおよび、フロンテッジにおける事業コンサルテーションなど。