頭の中で、小中学校を
やりなおしてみる。

仁藤 安久

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頭の中で、小中学校を
やりなおしてみる。

私がコピーライターになったとき、先輩から「学校で身につけたことはすべて忘れてください」と言われました。この言葉は、先生にとって「いい子」であることを演じてきた自分を卒業しなさい、という意味でのアドバイスでした。

確かに自分自身は、先生に褒めてもらうことを基準に学校で行動していました。自分で考えるということを、あまりしていませんでした。小中学校のころにアイデアをもっと大切にしていたら、もっと面白い活動やもっといい学習効果も得られていたのかも、と今なら思います。

そこで、アイデア発想の筋トレとして私が時々行なっていることがあります。それは、いまの自分が学生時代の自分に戻ったらどうするか、妄想することです。頭の中で小学校や中学生などをやり直す、ともいえるでしょう。

テーマは、なんでもオーケーです。小学1年生にとって、最初に漢字を教えるときに、どんな導入がいいか。小学2年生の時に習う九九では、どんな覚え方がいいのか。掃除をみんなが楽しいものとして捉えて動いてもらうためにどうすればいいか、クラスからいじめを無くすとしたらどうしたらいいのか、などなど。

たとえば、学級委員の決め方を、考えてみましょう。

通常は、自薦か他薦、そして投票というプロセスでしょう。
でも、この決定プロセスが果たしていいのか、自問することからスタートさせてみるのです。

そもそも男女1人ずつ決める、ということだけに縛られなくてもいいのでは?というところから考えてみるのもいいでしょう。学級委員の役割って、なんだろう?というところから考えてみるのもいいでしょう。今だから考えられるアイデアが浮かんでくると思います。

私だったら、どう考えるでしょうか?

まず最初に考えるのは、学級委員も含めて、クラスの中で決める係のすべてを「やりたいからやる」ということではない方法に変える、ということでしょうか。

つまり、自薦をやめて、すべて他薦にするということです。
自薦が前提になっていることで、誰もやりたがらないときの気まずい空気をつくる、元凶になっていると思うからです。

あの嫌な空気をなくしつつ、みんなが納得しながら、適切な人選が行われるようにするには、どうしたらいいか。

まず、学級委員や給食係、清掃係、生き物係、掲示係などクラスの役割をすべて棚卸しして、それぞれにどのような役割があるのかを先生から丁寧に説明します。

次に、学級委員や係についての「人材要件」をクラスみんなで出していきます。そして、その要件に会った人は誰かを記入します。
学級委員であれば、男女1人ずつ。掃除係であれば、5人分の記入欄があるというイメージです。その投票結果をもとに、担任の先生が適切な配置などを鑑みながら役割を任命します。

どうでしょうか、ちょっと真面目なアイデアすぎますかね?。

逆ババ抜きというババを最後まで残っていた人が勝ち残りにして、ババを引き続けた引きの強い人を学級委員にするというものも考えたのですが(苦笑)

こんな風に、いろんなお題で、小中学生だった自分を振り返りながら、頭の中で、アイデアで改善できることを考えてみませんか。

「席替え」のいちばんいい方法ってなんでしょう?
「帰りの会」をもっといいものに変えられないか?

思い出の中に、考えがいのありそうなテーマが、いっぱいあるはずです。

 


 

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YASUHISA NITO
1979年、静岡県生まれ。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程にて文化人類学・地域づくり・ネットワークコミュニティ論を専攻した後、2004年電通入社。 コピーライター及びコミュニケーション・デザイナーとして、日本オリンピック委員会、日本サッカー協会、三越伊勢丹、森ビル、ノーリツ、西武鉄道などのクリエーティブ業務を担当。電通サマーインターン座長、新卒採用の戦略にも携わり、クリエイティブ教育やアイデア教育など教育メソッドの開発を行う。2017年に電通を退社。新規事業開発担当として、広告・コンサルティングの他に、スタートアップ企業のサポート、施設・新商品開発、顧客サービス、人事・教育への、 広告クリエーティブの応用を実践している。 受賞歴は、ロンドン国際広告賞 金賞、ニューヨークフェスティバル 銅賞、キッズデザイン賞、文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品など。