いい天気です、と書こうとしたらいい電気です、になってしまった
文章はハードだ
4月に入って、今年度は毎日コラムを書いてみよう、と思って始めたわけですが(早速何日か飛ばしてしまいましたが)、普段文章を書きなれていないと、まとまった文章を書くのがなかなかハードで時間がかかることに気がつきます。自分は企画書も比較的「ブツ切りの単語でなく文脈で書こう」と思っている方だと思うのですが、やっぱり企画書と文章は違いますね。そんなわけで休日は、戦略に関する話というよりは目に触れた、耳に入ってきた世の中ごとで気になったことについて軽く書いていこうと思います(というか今日そう思いました)。
東京大学の入学式祝辞
4/12に行われた、東京大学の入学式における上野千鶴子名誉教授の祝辞が話題です。ネットではこの祝辞についてさまざまな意見が飛び交っていますが、自分は素直に、いいな、と思いました。ネットで主に議論が交わされているのは、前半部分で取り上げられていた「東京大学にも隠れた性差別はある」ということ、「女性に対する社会的抑制」についてのことだったと思います。ただ、自分は不勉強なこともあり、ここではコメントしません。全文は東京大学のホームページに掲載されているのでよろしければ読んでみてください。https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/about/president/b_message31_03.html 自分が共感したのは主に後半に語られていたふたつのパートです(もちろんこの後半のために前半のジェンダー論や女性学の話があったのではないかとも思いますが)。自分が共感したひとつめのパートは以下です。
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がんばったら報われるとあなたがたが思えることそのものが、あなたがたの努力の成果ではなく、環境のおかげだったこと忘れないようにしてください。あなたたちが今日「がんばったら報われる」と思えるのは、これまであなたたちの周囲の環境が、あなたたちを励まし、背を押し、手を持ってひきあげ、やりとげたことを評価してほめてくれたからこそです。
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もちろん、そこに列席した新入生は皆、素晴らしい努力をしてきた、素晴らしい能力を持っている学生たちだと思います。それでもなお、そんな入学式の祝辞で「惜しみなく努力ができる環境を作ってくれた周囲に感謝しなさい」ということを上野先生に語ってもらった東京大学のメッセージを発した覚悟はすごいと思いました。人間はそもそも平等に生まれてきてなどいないし、全く同じ条件で育つわけではないのですから。特に、東京大学に入学できるほどの能力を持ち、努力をすることができた東京大学の新入生のような人たちがその「差」を意識することが、「多様性」を当たり前に認める社会への第一歩になると思うし、東京大学がそういう学生を生み出そうとしている大学なんだということが伝わってきたのは、自分にとっても新しい発見でした。「多様性」を認め、「ノブレス・オブリージュ」的精神を浸透させることが、今後当たり前になってくる格差社会を乗り切る「社会的インサイト」になっていくんでしょうね。そんな中では、自分の中には「ノブレス・オブリージュ」的精神が自然に湧き上がってくるようなことはないのかもしれないです。反省。ちなみに、東大新入生のインタビューで、新入生が望む卒業後の進路は「外資系企業への就職」だったそうです。ちなみに官僚にはできればなりたくないらしい。
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そしてふたつめは
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あなた方を待ち受けているのは、これまでのセオリーが当てはまらない、予測不可能な未知の世界です。これまであなた方は正解のある知を求めてきました。これからあなた方を待っているのは、正解のない問いに満ちた世界です。(中略)大学で学ぶ価値とは、すでにある知を身につけることではなく、これまで誰も見たことのない知を生み出すための知を身に付けることだと、わたしは確信しています。
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これはまさにQueメンバーが日々感じていることです。特に、大きな会社を辞め、独立してから、さまざまな企業の経営者の方々や、若いスタートアップのリーダーの方々とお話していて思うのは、正解のない“問い”に満ちた世界で、誰も見たことのない世界を作ろうとし、日々、世の中に対して”問い”を立て、それを解いていこうとしている姿です。自分もそうかもしれません。たとえ正解がなくても、“問い”を解いていく過程で何かを見つけていく。プロセスの大切さがわかるようになってきたからこそ、この祝辞で示された「大学で学ぶ意味」に、深く共感できました。いま、この仕事をしていても、めげずに、本質的でかつ面白い案を出し続けられるのは、大学で何かをきちんと「学ぶ」過程をしっかり頑張った人たちだと自分は感じます。ああ、自分も、もう一回大学生活をやってみたいなと、上野先生の祝辞を読んで思いました。