間宮のコラム まみこら vol.21
休日の息抜きコラム(4)東京とミツバチ

間宮 洋介

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ミツバチの世代交代

恵比寿にミツバチの大群が出現

 

先週のニュースでしたが、恵比寿の駅近くに突然ミツバチの大群が出没ました。普通、ミツバチの女王蜂は春になると新しい女王蜂を生みます。蜂の世界では、一つの巣には女王蜂は一匹しか存在できないので、新しい女王蜂が適度な大きさになると、母(かつての女王蜂)は、巣の中の約半数の働き蜂を連れて、新しい巣を探しに飛び立つのだそうです。これは「分蜂」という習性らしいのですが、なぜ今回、街に大群が出てきてしまったかというと、この近くで育てられていたミツバチの巣箱から、ここのところの急激な暖かさで、「分蜂」で飛び立った「お母さん女王蜂と働き蜂の集団」が街に出てきてしまったのだろう、とのことでした。ここで二つ、なるほど、と思うことがありました。ひとつは、こんな都心で養蜂農家がいるんだということです。調べてみると最近屋上緑化の一環で、屋上に蜂の巣箱を置く人が増えているらしく、都心にも意外に多いということ。育てられているのはミツバチなので、それほど危険ではないらしいのですが、ミツバチがいるところには天敵のスズメバチも誘われてやってくる、という話もあるので、特にこれからの時期、気をつけて歩かないといけなそうですね。スズメバチは人間に対してもとても危険ですし、何しろ1日に100kmくらいの距離を飛行することができるらしいので。

 

 

ミツバチ界では、「新」が「旧」を追い出す

 

もうひとつ、なるほど、と思ったことは、「分蜂」の時に、巣箱から出ていくのは、新しい女王蜂ではなく、今までの女王蜂、つまりお母さん女王蜂だということです。普通人間で考えたら、親の住んでいた家から子どもを残して親が出ていくことはあまりないと思うのですが、蜂の世界は逆。そうか、「世代交代」か。老兵は追い出されるのか、シビアだな、、、と「旧」世代になりかけの自分は一瞬切なさを覚えたのですが、調べてみるとそうではないことがわかりました。「新」世代の女王はまだ外界のことも蜂の巣の秩序のこともわかっていません。そんな中でいきなり彼女を外界に飛び立たせてしまうと、種は、その存続にすら影響を及ぼすようなリスクを抱えてしまうことになります。そこで、生態系が完成し、住み慣れて、かつ外敵からの攻撃も受けにくい今までの巣を、母親が娘に譲り、自分が外界に飛び立つのだそうです。これは蜂の「集団としての本能」、つまり長い間培われてきたノウハウの蓄積なのだと言われています。でもこれ、蜂に限らず、いつも考えると本当に不思議で興味深いことだと思います。それは、最初から本能として備わってきたのか、それとも、長い歴史の中で、生き延びてきた個体が何らかの方法で次の世代にリスクを伝え、種をつなげているのか。何しろ、リスクに直面し、死んでしまった個体は、他の個体にその経験を伝えることができないわけですから。

 

 

種の存続と、期待と不安

 

とても個人的な話ですが、小さいなりに会社をやってみると、少なからずこのコミュニティをどのように安全に繁栄させるか、そしてそれを次世代につなげていくか、それまであまりそういうことに興味なかった人間(自分のことです)でも、否応なしに考えることになります。それは未来に対する明るい期待でもあるのですが、反面、不安でもあります。もしかしたら新旧問わず、女王蜂も、同じようなことを感じているのかもしれないと、恵比寿のミツバチのニュースを発端にいろいろ調べてみて、思いました。ちなみに、自分は、「蜂の巣」の見た目が世界で一番大嫌いなので、先ほど「ミツバチ」で画像検索をしたら死にそうになりました。ブツブツとかが整然と並んでるのを見ると血の気が引くんです。どうやら「集合体恐怖症(トライポフォビア)」というらしいです。蓮コラなんてもってのほか、蜂の巣だけでなく、蜂がびっしりかたまってとまってたり、海ぶどうとかも苦手です。そんな余計なことを書いていたら具合悪くなってしまったので寝ます。

YOSUKE MAMIYA
1994年電通入社。2年間のマーケティング局、16年間の営業局勤務を経て、2012年よりCDC。 「戦略とは、課題の言語化である」を戦略立案の芯に据え、戦略から表現まで統合し、あらゆる課題解決業務に従事。関わる領域は、広告コミュニケーションにとどまらず、事業系ソリューション、中長期経営計画立案、インナーのモチベーション・デザインなど多岐にわたる。 2017年に電通より独立。2018年 株式会社 Que 代表取締役CEOに就任。 主な仕事として、キリンビール「一番搾り」「氷結」キリンビバレッジ「午後の紅茶」「FIRE」におけるコミュニケーション・デザイン。 トヨタ自動車「AQUA」「MIRAI」「PRIUS PHV」「C-HR」のコミュニケーション戦略、 NTT ドコモ「2020 東京オリンピック協賛プロジェクト 」、プレナス「ほっともっと」ブランディング・ディレクション、日清食品「カップヌードル」 「UFO 」におけるキャンペーン・プランニングおよび、フロンテッジにおける事業コンサルテーションなど。